novel
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彼と彼女のアジアート
うさぎりんごとすりおろしりんご煮
巣鴨雄大はおかゆは苦手、というのを本条晶が知ったのは、同棲を初めて少ししたくらいだった。 晶は風邪も引かなければ、ワクチンの副反応も引くことがない元気な体質なのだが、巣鴨はそうてはないらしい。いつも元気な子犬のような恋人が、満員電車で... -
私とわたしの日々是好日
2022SS名刺メーカーまとめ
順不同。多分上に行くほど新しいです。 -
甘い炭酸ソーダのふたり
甘やかに溶けるように、
陸上は深いため息と共に車のエンジンを切る。静かになった車内で、いつもよりも緩慢な動作でシートベルトを外して、ネクタイのノットを緩める。早く家に帰り、風呂に入ってダラダラしたい、という気持ちもあるのだが、いかんせん精神的な疲労がピークに... -
カナリアのベルカント
降る銀は百色
title by alkalism(https://girl.fem.jp/ism/) 星間連絡船はたいていが乗合形式だ。大型種族用のものもあれば、小型種族むけのものもある。本来とは別に小さな形になれる種族は、大抵小型種族向けのものに乗ることが多い。理由は簡単だ。安いのだ。 ... -
ハリエンジュの赤い星
オレンジ、パープル、そしてブラック
十月に入り、急速に気温が冷えてくる。この間まで厳しかった――夏と変わらない残暑はなんだったのか、と思いながら、優はパーカーのポケットに手を入れる。隣を歩く男も、流石に冷えてきたのか長袖のロングTシャツを着ていた。 自販機かコンビニで温か... -
Final Fantasy XIV
熱く、甘く、赤く、
このために買った……というわけではないが、以前より欲しかった「自動あたため機能」がついた魔導装置。作り置きしたシチューを、わざわざコンロの火を付けずとも、皿に盛って装置の中にいれるだけで温められるというそれは、一皿ずつ食べるならとても便... -
サンハ=ユアニルの麓にて
煌めく黄金色
黄金鶏のハムを挟んだ黄金鶏の食パンを使ったサンドイッチを手に、マクシミリアンはサンハ=ユアニルの街を歩いていた。 街はお祭り一色で、大通りは多くの露店で賑わっているし、飲食店の店先にあるテラス席はアルコールに酔った人々が歌ったりしてい... -
実は既婚者だった話
朝食-4
朝。ペパーは見慣れない天井にぎょっとして、横を向いて床が近いことにもう一度驚いた。それから、そういえばアオキの実家に来ているんだった、と思い出す。慣れないと眠るのが大変だろうけれど、と並べて敷かれた布団に二人で入って、眠くなるまで今日―... -
彼と彼女のアジアート
融解温度
巣鴨は手のひらよりやや大きい袋に入った、大きなアメリカ産のマシュマロの袋をハサミで開けていた。彼が立つシンクの前にはココアの袋が置かれており、電子レンジが低い唸り声を小さく上げて仕事をしている。 ちん、と軽い音を立てた電子レンジは、自... -
実は既婚者だった話
夕飯-3
コーヒーブレイクをして、アオキとペパーは、昔アオキの部屋が現在オウミの息子の部屋になっているため、仏間に荷物を運び入れる。リュックサックとキャリーケースに詰め込んだ荷物を整理しながら、ペパーは緊張した、とアオキに笑いかける。その表情は... -
実は既婚者だった話
実家にて-2
ヤマブキシティの舗装された道をアオキとペパーは歩いていく。ビジネス街とも言えるヤマブキシティの街並みは、大きなビルが建ち並んでいて、ハッコウシティのように人で賑わっている。 聞き覚えのあるグローバルな会社の本社を横切ったり、ジョウト地... -
実は既婚者だった話
空港にて-1
付箋がたくさんついたガイドブック片手に、ペパーは空港のターンテーブルで預けた荷物を待つ。聞き慣れない言語を聞きながらも、パルデア語のアナウンスを頼りにターンテーブルまで来たのだ。 手洗いに向かったアオキの分の大きなキャリーケースと、自...