novel
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私とわたしの日々是好日
バニラホワイト・デイブレーク
麦茶をタンブラーに注いだ絢瀬は、冷蔵庫の扉を閉じてリビングに向かう。ソファーの背中越しに見える大きな背中に近寄り、後ろからその手元を覗き込む。ヴィンチェンツォの大きな手のひらにすっぽり収まっているのは、カップアイスだった。表面になにか... -
実は既婚者だった話
かわいい僕とかわいくないパイセンと先輩の家の探検の話
流石に初回お泊まり会は難易度が高すぎる、と伝えたハルトは、土曜日の昼から遊びに行くと約束を取り付けたのは少し前の話だ。 友人の家とはいえ、旦那のいる身の人間だ。手ぶらは不味かろうと考えたハルトは、無難なおやつによさそうなケーキを持ち寄... -
私とわたしの日々是好日
雨に溶かして、
絢瀬は腹に回った丸太のように太く、がっしりとした腕の重みで目が覚めた。同時に、窓を叩く雨の音が聞こえてきて、今日の天気は雨だったか、とうつらうつらとまだ半分眠っている頭で考える。 普段であれば、このあとすこぶるしっかりとした足取りで起... -
彼と彼女のアジアート
僕と君と時々噛み合わない話
仕事帰り、巣鴨は駅ビルの本屋にいた。仕事で必要になりそうな本を見に来た……と言うわけではなく、単純にハマっている漫画の最新刊を買いに来たのだ。 早々に目当ての漫画を買った彼は、どうせ駅ビルに来たのだから、とウィンドウショッピングに勤しむ... -
実は既婚者だった話
愛を示すもの
(ん?) ハルトは暑い、とネクタイを緩めたペパーの胸元にちかりと光るものがあったような、と疑問を浮かべる。太陽の日差しを受けて、きらきらと何かが光ったような――そんな気がした。 今日は気温が上昇するでしょう、と天気予報のお姉さんが朝方伝え... -
実は既婚者だった話
愛とはきっとスパイス色をしているのだ。
「そういや、アオキさんって時々お弁当持ってきてはりますけど、あれって自分で作ってはるんです?」 ポケモンリーグパルデア支部内にある職員用の食堂で昼食に、とハンバーガーセットをテイクアウトしてきたチリは、四天王専用の部屋で同じように昼食を... -
pokemon
夕暮れ空、夕食時
仕事終わりの夕飯時、チャンプルタウンの店はどこだって混み合う。それは安くてうまい宝食堂だって例外ではない。 人の多い時間帯にも関わらず、するっと思いの外並ぶことなくカウンター席に案内される。よかった。これ以上並ぼうものなら、腹の虫がス... -
私とわたしの日々是好日
お揃いが増えてゆく幸福
title by icca(https://iccaxx.web.fc2.com/) ヴィンチェンツォと絢瀬は家具販売店に来ていた。割れてしまった陶器製のマグカップの代わりを買いに来たのだ。 久しぶりに来た大型家具店ということもあり、二人は陳列されている家具を見ながら店内を歩... -
カナリアのベルカント
ミラーボールプラネット
title by alkalism(http://girl.fem.jp/ism/) 惑星外から人が来る事なんて珍しくなくなった。僕らだって他の惑星に行くこともあるのだ。外の惑星には、人の形を取っていない存在も多い。獣のような姿だったり、魚が喋っていることだって不思議ではない... -
彼と彼女のアジアート
子犬は彼女のオモチャとなりうるか※R-18
「ストップ! ストップ! 晶ちゃん、待って! 待とう!」「試したいんだろう?」「いやいやいや、いやいやいや! 試したいとは思ったし、だから買ったんだけどね!? 今すぐとはね、言ってないんだよ!?」「そうか。だが、気になるのならすぐに試し... -
彼と彼女のアジアート
二人でやったら、面白いよ
「お好み焼き作れる?」「作れるが……どうした」「いや、食べたいなーって」「そうか。なら、夕飯はお好み焼きにするか」「やった!」 粉物って時々無性に食べたくなるから不思議だよねえ。そう言いながら巣鴨は横になったまま腕を伸ばす。天井に向かって... -
pokemon
たわいもない会話が最高の楽しみ
アオキはカーテンの隙間から漏れる日差しで目が覚めた。スマホロトムを確認すれば、朝食には遅く、昼食には早い時間だった。 休日前にはしゃぎたおした夜を過ごした充実感のなか、アオキは隣で抱きまくらのように抱えていたペパーを見る。ふにゃふにゃ...