title by Cock Ro:bin(http://almekid.web.fc2.com/)
「……知り合いに似たカラーリングの、随分な美人が突然隣に座ってきたんですけど?」
「随分な美人でしょ。自分でもそう思いますよ」
「やっぱりネッロか」
「よく分かりましたね」
「座り方と話し方。隠す気なさすぎんだわ」
「はいはい」
賑やかな酒場。一人エールを煽っていたシャルロッテはどっかりと隣に腰を下ろしてきた女に摘んでいたバタードフィッシュを譲る。女はエールを注文すると、足を開いて座っていたのを少し正す。
雑に足を組んだエレゼン女性を、シャルロッテは上から下まで見る。見慣れないラザハン調の服装は、ここ最近流行っている高難易度任務でサベネア島に向かうことが多いからかもしれない。やる気が出ないと駄々をこねる男にしては珍しく、ガンブレードを片手に挑んでいるのは知っている。コロセウムの人気者が最近はコロセウムから浮気している、とパパラッチされたところだ。
ネッロ・ヒースコートの面影を残した美女は、宝探しに行ったんですけど、と口を開く。
「おー。稼げたのかよ」
「最終区画までは行きましたよ。で、ユウだったかエデンだったか誰だったかは忘れたんですけど、誰かの転送魔紋で出てきた薬の蓋をあけたら、煙が上がったんですよね」
「あいつらと行ってきたのか。んで? 薬が煙をあげて女になったって?」
「そういうことなんですよ。視点が変わるわ、力の具合が違うから慣れるまで大変でしたよ」
「慣れるの早くね?」
「僕を誰だと思ってるんです?」
護り手の職業を一通りできる時点で察して余りあるでしょ、器用さについては。
自信たっぷりに口角を上げて笑うネッロに、シャルロッテはそういう男だよなとエールを口に含む。早々にエールの入っていたジョッキを空にしたネッロは、シャルロッテの顔を覗き込みながら、慣れついでにどうです、と持ちかける。
何を持ちかけられたのか察したシャルロッテは、処女の相手は面倒臭いと返すが、乗り気ではあるようだ。
「後ろは処女じゃないですよ。セカンドバージンってやつですよ」
「普通は後ろがセカンドバージンなんだけどな。まあいいか。てか、お前が女の体に興味あるだけだろ、これ。俺にメリットっていうと、女が抱けるだけじゃねーの」
「初めから受け入れる器官だと、気持ちよさ違うのかなって気になりません? だったら最初から比べやすい相手で試したいでしょ」
「へーへー。そういうことな」
「どうせあんたならヨガらせてくれるでしょ?」
「せいぜい天国見せられるように努力はしますよ」
「不貞腐れてらぁ。褒めてるんですよ」
「そういうことにしておいてやるよ」
そんなやり取りをすると、二人は揃ってエールの入っていたジョッキを空にすると伝票を手に立ち上がる。夜の帷が落ちた街を歩き出すために、会計を済ませるのだった。